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彼は突然と帰ってきた。
普段通りにボクたちの前に現れた。
無口の彼はソファーにそっと座った。
「本物?」
って僕が尋ねると、
「違うよ。」
って冷たく、でも優しさのある声で答えた。
でも、その彼は本当に彼そっくりでうれしかったんだ。
だから、もっといろいろと会話をしようと思った。
聞きたいことはたくさんあった。
文句もたくさん言いたかった。
そう思ったとき、うちの母親が起こしに来た。
「ほら、さっさと起きなさい。」と。
・・・それは夢だった。
ボクは彼の大きな写真の前で目を覚ました。
ただの夢。
そう分かったら、急に涙が止まらなくなった。
ただただ涙が流れた。
夢の中の彼を思い出しながら、涙が溢れてきた。
こんなこと何度も何度もあったのに。
いろいろ思い出す夜だって何度もあったのに。
でも頑張って乗り越えてきたはずなのに。
もう彼は戻ってこないんだって。
分かってるはずなのに。
なんでこんなに引きずってるんだろ。
・・・・・でも、夢でも逢えてよかった。
さっ。レポートでも始めるか。